龍馬プロジェクト四国ブロック研修を8月29日・30日に徳島県神山町にておこないました。
徳島県神山町は徳島市から車で約40分、徳島空港からは車で1時間の中山間地域に位置し、人口約5000人の、どこの都道府県にもありそうな過疎の小さな町であるが、今ここで起こっている地方創生のモデル「神山の奇跡」について、三人の講師から講義を受けてきました。
まず神山プロジェクト全般についてNPO法人グリーンバレーの大南信也理事長よりご講義頂きました。30年前、神山町国際交流協会という地域の尖がった若者たちが集まり、はじめた事業が変化して生まれたのが「神山アーティスト・イン・レジデンス」でした。
毎年3人のアーティストを神山町へ呼び、アート作品を住民と一緒につくりあげていくプログラムを1999年から実施し、観光資源にするためだけに作品をつくるのではなく、住民たちがアーティストのサポートをすることで、お互いに関係性を構築。2~3年すると、神山町の環境が気に入ったアーティストの中から移住希望者が現れたため、古民家を探す手伝いをするうちに、移住に関するノウハウも蓄積されたのだという。
サテライトオフィスの誘致や移住促進の成功体験から、様々なものを得てきた神山がこれから取り掛かるのが学校づくり、2025年に開校を予定している【神山まるごと高専】は神山が辿り着いた一つの答えだと思う。
それは神山だけでなく、いかに地域にとって「ひと」「人材」が大事なものをかということを再認識させています。
そんな新しい学校が取り組む内容は決して科学技術を取り入れたものなどではなく、至ってシンプルな「人(野武士)づくり」、自らの道を自らの力で切り開いていく人材を作っていくもの、これまで足りないものを集めていくというグリーンバレーの考え方は進化し、足りないものを作っていくに変化した。
今後の神山に大注目して頂きたいと思います。
次に「サステイナブルに暮らす・働く」をテーマに齊藤郁子氏の講義を受けました。
元Apple社員の齊藤郁子さんは神山町に移住しカフェ「オニヴァ」を経営する傍ら、農業や林業、また神山の人づくりに携わってきました。
またオニヴァを経営する仲間たちと年間200日の休みを設けて、その休みを様々なことに使っているという。
「売り上げは減るけど、残るお金はそれほど変わらない」とのお話もありました。
近年、働き方改革について議論されているが、その多くが労働時間についてです。
齊藤さんの話を聞いていると本当の働き方改革は生き方がしっかりベースにないと、難しいのかもしれないと気付かせてくれました。
働き方の前に生き方の改革が必要ですね。
夕食は斉藤郁子さんをお迎えして参加者全員で懇親会
会場のかま屋さんは地元食材を使った料理やパンなど、神山町の中にあって持続可能な農業を担っている場所です。
おいしい食事と持続可能な意識と繋がりを深める時間はあっという間に過ぎて行きました。
2日目は予定よりみんなで早起きして、前日の齊藤さんの講義の中で出てきたサウナを見学に行ってきました。
その後、最後の研修「神山塾」によるまちおこしをテーマにグリーンバレー監事 祁答院弘智氏から講義を受けました。
行政でよくいう【人材育成】ですが、いったい誰がやるのか?またどんな人材を作ろうとしているのか?
神山塾で多くの地域の担い手となる人材育成を行ってきた祁答院氏のお話はとても刺激的で、どこか政治や行政に期待していない、自分たちでやるんだ、という自信と覚悟を関じさせてくれました。
またここでも今必要な人材として「個」の力についてのお話がありました。
3つの研修すべてで
後日、祁答院さんと会食した際に、龍馬プロジェクトメンバー向け合宿についてもお話させて頂き、今後、人材育成に直接携われるような機会も作りたいと思いました。
今回の研修で私なりに気付いたことがあります。
というか、薄々感じていたことですが、世界は確実に変わろうとしています。
大それた言い方だけど、生き方、価値観がこれまでとは確実に変わりつつあります。
しかし、変化しても望むものがそこになければ、変わりたくても変われないか、もしくは自分で作り上げていくしかありません。
「持続可能」なる流行り言葉は、昔から日本人はみんな生活の中で実践してきました。
持続可能のサイクルに入らないものは本来、人の生活のサイクルに適していなかっただけなのかもしれません。
少し政治家的な言い方をすれば、この価値観のチェンジを地方はチャンスにしなければいけません。それには政策立案能力と、新しい価値観を受け入れる柔軟さ、そして想いを形にできる繋がりのある人間じゃなければ地域を担う政治家としては難しいと感じた研修になりました。
今回、ご参加下さった皆様に心から感謝申し上げます。
龍馬プロジェクト四国ブロック長 井下泰憲
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