文責:龍馬プロジェクト 女性部会 部会長 神谷直子(高浜市議会議員)
令和4年10月の東海ブロック研修をきっかけに伊勢志摩に魅力を感じ、令和5年4月から移住体験中の龍馬プロジェクトのメンバーである竹久由友理子さんから「菅島しろんご祭を通して、離島を体感する研修」の提案を受けて研修会を開催しました。今回の研修地となっている菅島(鳥羽市)は、離島の一つで、島の人口は496人(212世帯)ととても小さなコミュニティで成り立っている島で、島民はとても素朴である。このような素朴な島の実態を皆さんに知って頂き、離島を実感して頂く機会になればと企画しました。鳥羽市は観光地として潤っていますが、島としては、スポットを浴びていないので、今回はそこを注目しました。
研修
「海女に生きて、菅島に生きて」海女さんのご講演。
海女さんの話によるとは、7月9日行われたしろんご祭りのお話から、どうやって海女になったか、どんな人が海女として適しているか、など、昔話から、今に至るまでの経験を交えたものでした。
菅島は、40人くらいしか泊まる場所がないそうです。島民も500人くらいしか住んでいません。犬は4匹、猫もいない。飲み屋も1軒しかありません。お店も5軒しかありません。
菅島自体は、昔は漁業だけで潤っていた街でした。磯焼けと密猟が問題です。海女さんの話は、昔は仕事がどこにでもあり、海藻や海の幸など、取って稼ぐことができたそうです。今も海藻はよく取れて、ゴールデンウィークはひじきで、1日5万円稼げるそうです。自給自足はできますが、島の中の生活は、コンビニも、レストランもないので、不便です。船便では、島民割りがないので、島に住みたくても稼ぎがある程度ないと難しいです。畑はあリますが、猪が怖くて耕作放棄地となっています。猪は、農作物を荒らすだけでなく、害虫であるマダニを連れてきました。島民は、血の関係がない方が少ないです。家系図が見えるぐらい濃い関係となっています。保守的で、初めてのことはやりたがらないです。島の伝統文化を守るのも大変です。全盛期は、海女さんだけで400人、だんだん減ってきています。島で生まれた女の子は、海女さんになれるが、漁業権が家にあるので、島と関係のない人がやってきて、海女になったり、漁師になったりすることができない仕組みになっています。今では、海鮮が取れなくて商売になりません。現在、小学生が22人です。濃い子供時代を過ごしています。女の子が少ないです。日本の縮図となっています。
漁師町では、男女の役割の違いがはっきりとしています。
普段接することのない海女さんのお話は大変貴重な話でした。
研修を受けた方々の感想
漁師さんの船にも乗せてもらって、感激した。
犬山では、民間のプラットフォーマー(犬山まちづくり株式会社)が活躍していて、そういう形が良いと思ったので、菅島もマッチングがうまくいけば、良いのではと思う。
昭和の日本が残っている気がした。
新しいものが入ってくることで、昔ながらのことがなくなってしまったのは寂しい気がする人もいる。
【菅島について】
三島由紀夫の潮騒で一躍有名になった島です。木陰に高齢者が数名、潮風にあたっていた。毎日の日課になっているそうで、ディサービスの代わりだそう。
【菅島ギルドハウス】
空き家を利用して、今後シェアハウスとして事業展開しようとしている場所です。
まだ完成している宿泊先ではありません。友達の家に泊まりに行ったくらいの感覚で宿泊しました。
【しろんご祭】
7月8日は、年に一度行われる神聖な祭「しろんご祭」の日であり、鳥羽の海女文化を体感する機会でした。毎年7月上旬に菅島の白浜(しろんご浜)で行なわれる「しろんご祭」は、700 年ほど昔、菅島にあらわれた白蛇を竜神の使いとあがめ、大漁と海上安全を祈願したのが始まりと言われています。ホラ貝の音を合図に海女全員が海に入り、鮑のつがいの初捕りを競うもので、雌雄つがいの鮑を最初に捕った者が海女頭となり、一年中尊敬されます。白浜は通常は禁漁区ですが、この日のみ漁が許され、この鮑は菅島の守り神とされる白髭神社に奉納されます。世界でも韓国の済州島と日本だけとされる海女文化が島の人々により引き継がれています。
【菅島灯台150周年記念除幕式】
「日本の灯台50選」に選ばれている、現役では最古のレンガ造りの灯台です。
明治6年に初点灯し、現存するレンガ造りの洋式灯台として日本最古といわれています。竣工式には西郷隆盛も参列したと伝えられています。灯台周辺は伊勢志摩国立公園に指定され、伊良湖水道を望む風光明媚の地です。
そんな歴史ある菅島灯台が今年、初点灯から150周年を迎えました。しろんご祭のあるこの日に記念式典が行われ、タイムカプセルを埋めた若者が子供たちに向けて島の良いところ、大人になるまでに経験しておくと良いことなど、スピーチをしていてとても感動的でした。
菅島監的哨跡(旧陸軍伊良湖射場の弾道試験のために作られた施設)
日本は島国ですが、さらにこの国の中には小さな島(離島)が沢山あリます。その島の数はなんと14,000を超えるほどあり、小さな島(離島)と大きな島(本土)で成り立っているのが日本です。また日本の有人離島は305で、これらの島に住む人のおかげで日本の安全保障の一部が守られていますが、その実態を見る機会はそれほどありません。
星空見学はとても綺麗で街では見かけないものでした。
観光地ではない自然が受け入れてくれて、感動的な旅でした。
近くて遠い離島での体験と研修を通して、日本にはまだまだ魅力的な場所がたくさんあり、そこで頑張って生きている方々と触れ合い、地域から日本を変えていくという龍馬プロジェクトの志を新たに感じました。
責:龍馬プロジェクト 女性部会 部会長 神谷直子
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