①『高次脳機能障がいについて』
講師 諏訪の杜病院 理事長・院長 武居光雄 様 他
会場 諏訪の杜病院
「高次脳機能障害」とは、脳卒中等の病気、交通事故等で脳の一部を損傷したために、思考・記憶・行為等の脳機能に障害が起きた状態を言います。
外見からは分かりにくい障害であり、周囲からは十分に理解を得づらく誤解されてしまうこともしばしばあります。
今回の視察は九州ブロックメンバーからのリクエストにより実現し、そのメンバー含む他の地域では高次能機能障害に取り組む病院が少ないという状況です。
そこで規模拡大・移転したばかりの諏訪の杜病院で、この問題に積極的に取り組む院長に学ばせていただきました。
全国の支援拠点機関配置状況としては、平成 16 年より設置が始まり、支援コーディネーターを配置し相談支援を設置しております。
平成22年度に全都道府県への設置を達成し、その数は令和6年4月時点で123か所となっています。
支援拠点機関の内訳(令和5年度)は、総合病院・クリニックが最も多く32%、保健所21%、リハビリセンター17%、残りはその他。
支援体制整備につきましては、多障害領域に比べると短期間で進んだ事業とのことでした。
日本の医療の傾向として「命を助ける」事が重要視されて優秀な一方、その後の「サポート」は追いついていないという印象を受けました。
海外では助からないと思われる命が、日本では助かるが障害が残ることにより、その後の生きづらさに繋がっているのが、現状の問題点の一つと感じます。
サポートの遅れについて考えられる内容としては、
①高次脳機能障害は目に見えにくい障害であり、病態が多岐に渡ること。
目標として就労や就学等が重要であるが、これらを成功させるためには各分野で深く関わる必要があり、かつ長期間に及ぶこと。
②社会的行動障害(易怒性、脱 抑制、自発性の低下など)が出現すること。
社会参加する上で地域とのつながりや多職種との連携が必要であること。
③家族支援など支援内容も複雑であること。
診断及び治療が難しくかなりの時間を要し、専門的なスタッフが必要であること。
といった点が挙げられると考えます。
現在、各都道府県での支援拠点機関は、公的病院、民間病院、行政、家族会と多種多様であり、中でも行政機関が指定を受けると、支援コーディネーターが数年で変わったり、診断や治療の要となる医療機関の協力が得られないなどの問題を生じているという現状です。
民間病院が指定された方が力を入れて取り組む事が多く、上手く運んでいるということも聞きます。
国(行政)が補助金等の予算をつけるだけでなく、スキームを構築して関係各所がしっかりと連携できる“体制づくり”がまずもって重要ではないかと感じました。
今後、我々議員としても行政と民間、または地域や研究機関を繋ぐ役割を果たしていく必要があるとも感じたため、今後も調査・研究していこうと思います。
文責:牧 貴宏
②『全国初 県内一括の消防指令業務』
講師 大分市消防局 通信指令課 田北 憲太郎 課長
同 川上 和宏 参事
会場 大分市消防指令センター
大分市の複合公共施設内にある『おおいた消防指令センター』にお伺いし、全国で初となる消防指令業務の一括化について学ばせていただきました。
これは令和6年10月から始まったばかりの業務で、大分県内全域の消防指令業務をこの指令センターで一括して行うものであります。
これまでは他の都道府県と同様に、各自治体や地域ごとに核となる指令センターを設置し、そのエリアでの119番通報は各々のセンターで受け、そこから出動指令を出すものでありましたが、この業務を一か所に集中させるという取組みです。
この事業は開始前から
・県内とはいえ地域性が異なるため、指令に支障(遅れ等)が出ないか?
・土地勘の無い職員が混乱を招かないか?
・大分市のみに負担(費用面、マンパワー)が集中しないか?
・このセンター近辺に大きな災害が発生した際に県内全てに影響しないか?
などと言った懸念点が出されて、議会でも多くの議論が交わされたとのことだった。
しかし、これらの懸念は各種装備や職員の研修、基地の設置や緊急の際の設備を整えることで問題は無いとのことでした。
さらに、この事業のメリットとしては『各自治体の維持・管理費の負担減』『人口減少による人材確保における困難の解消』が挙げられるとのことでありました。
しかし、まだ運用は開始されたばかりで見えてこない課題もこれから出てくるのではないかと感じましたし、実際にコストカットになっているかは経過を見ないとわからないとのことでもありました。また、国の試算と現状の運用に係る予算に乖離が感じられる部分もあるとのことで、説明してくださった職員さんは全国のこの事業のアドバイザーに就任したとのことで、これからこの事業に取り組もうとする自治体にアドバイスする立場ではあるそうですが、決して「この事業を推進する」立場ではなく、この事業の効果やメリット・デメリットを俯瞰的に分析し、伝えていきたいとのことを仰っていました。
我々地方議員も同様に、今後の行方をしっかりと注視し、地域の防災・減災対策としてどう取り組んでいくのが良いのか、しっかりと考えていく必要があると感じました。
文責:穴見 憲昭
2024.12.11
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