12月19日(日)に、 関西地区龍馬プロジェクトとしては年内最後のイベントである関西龍馬塾を吹田で開催しました。 当日の模様は会長神谷の事務所でかつてインターンを経験し、来春吹田市議会議員に立候補予定の足立将一よりレポートさせていただきます。
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12月19日に吹田にて、第2回関西龍馬塾が開講されました。講師に「子どもにツケを回さない」の提唱者吉田寛先生をお招きし、『公会計~市民の財布を考える~』 をテーマにご講演いただきました。
講演では、会計の基本原則から、公共事業のあり方、吹田市の公会計の内容まで、 時にユーモアも交えながら非常にわかりやすくご教授いただきました。その中から数点、特に私が感銘を受けた内容をご紹介したいと思います。
1. 会計の基本原則は「この人に任せてよいのか」ということ
例えば私達がお店でものを買うとき、買って「喜び」や「お得感」を感じるとき、お会計をして「この店をまた使うか」を判断します。 その場合「サービスの提供者がこのひとでいいのか」 じっくり考えて買い物をします。
会社であれば社長が「儲けます」と約束してお金を集め商売し、株主に 「この社長でいいのか?」を判断してもらうために会計というものが存在します。 能力のある社長であれば儲け、能力がなければ株券を紙くずにするので会計により株主は社長をこの人に任せてよいか判断できるのです。
行政の会計でも同じように、税金の使い方、行政運営の良否によって 「首長をこの人に任せてよいのか」を判断できるものであるべきで、 一般市民にわかりやすい形で公会計が公表されるべきとのことです。
2. なぜ税金を払うのか ~承諾説より~
かつてフランス革命がおこり政治体制が専制(ただ1人が権力を持つ)から民主制(権力が分散)に転換したとき、 フランス人権宣言が議決されました。その人権宣言の14条になぜ税金を払うのかが書かれています。引用しますと 「すべての市民は、みずから、またはその代表者によって、公の租税の必要性を確認し、 それを自由に承認し、その使途を追跡し、かつその数額、基礎、取立て、および期間を決定する権利をもつ」。 つまり税金は我々国民(市民)が必要性と使途を確認し、承諾するから払うものなのです。 このことは私達が税の根本を考え直す契機を与えると共に、ひとつの重大な結論を導き出すことができます。 子ども達(20歳未満)は現在の税に対して承諾する資格(首長への選挙権)は与えられていません。 ということは現在出る赤字を将来の税負担として計上するべきではなく「均衡財政」であるべきというのが民主主義の原則であるということです。 「代表なくして課税無し」という言葉であればよりわかりやすいでしょうか。
3. 主権者の目を潰す
現代の日本では国民が主権者であり納税者でもありますが、税金を集める側にとっては主権者が税の使われ方に目を向けない、 関心がない方が集めやすく、また暴動も起こりません。日本では国民が主権者であるはずなのに、 気づかぬ間に支配されているような状況に陥っているように感じます。 このように主権者の目を潰す方法として4つの手段が講義では挙げられました。
①主権者が何者かを忘れさせる ②主権者に情報を与えない ③主権者に選択肢を提供しない ④あるべき税制度を考えるのを諦めるくらい、 税制度を複雑にする
今の日本ではいくつ当てはまっているでしょうか。政府の腐敗の唯一の原因は国民の権利に対する無知または忘却または軽視だとのことです。
4. 公会計の責任
会計責任とは自己が行った行動の正当性を説明する責任のことです。そこで公会計が提供すべき会計情報は 「納税者が承認できるような税の使い方をしたか」を判断できるものであるべきとのことです。 この会計情報としてわかりやすいのが「仕事一つ一つに値札をつける」 という作業です。
たとえば東京都の乳児駅前保育所で、利用者の子ども一人当たりにかかる年間費用は約580万であるのに対し、 受益者負担は年間24万円だそうです。つまり受益者負担以外は税金からまかなわれているということです。 ある自治体の給食1食あたり約930円、利用者負担は約230円、残りは税金で負担。
このように考えた場合、納税者は様々なことを考え、議論できると思います。国交省の『ライフサイクルコスト法』 によればハコモノにかかる費用、13%が建築費用で71%は壊すまでの維持管理費だそうです。 建築に30億かかればその後計上される維持管理費はどうなるか。 そこまでの情報があればより納税者は税の使われ方をより真剣に考えるのではないでしょうか。 また国がやるべきではなく民間に任せるべき仕事についても、より議論がなされるのではないでしょうか。
5. 吹田市民1人あたりの借金
吉田先生が所長を務められる公会計研究所(IPSA)の方式にのっとって吹田市民1人あたりの借金を計算しました。資産の部を「流動資産、 投資など」の和とし、負債の部を「流動負債、固定負債」の和。将来の税金(子どもにまわす借金)を資産の部-負債の部として計算したところ、 普通会計では市民一人当たりの借金が平成20年度98,394円、平成21年度100,503円となっていました。 さらに連結財務諸表(市民病院や下水道局なども含めた場合)では平成21年度341,828円にもなっていました。 つまり吹田市に生まれた瞬間から吹田市民として借金をおよそ34万円背負うことになります。 この連結財務諸表の他年度の数字が吹田市からまだ公表されていないので現在調査中ですが、 借金が増えているか減っているかで現市長の手腕が問えるということになります。
このような数字が公会計で提出されるようになれば、市民は現在の首長でいいのか悪いのかが判断できるようになり、 日本の民主主義がより発展するのではないでしょうか。
今回の講義で改めて政治とはなにかを、考えさせられました。 現代の日本では表向きは民主主義と謳われていますが実際のところ主権者である国民、市民は目を潰され、 主権者としての働きを十分できていないのではないかと思います。誰をリーダーとし自分達の税金をどう使うか。 それを判断するにはよりわかりやすい形で様々な情報を私達が見ることができる必要があるはずです。 その数字や情報を行政が積極的に出さないのであれば、有権者の代表である議員が国民、 市民に説明し公の仕事の良し悪しを判断してもらうことで、本来あるべき民主主義の姿になるはずであるとわたしは考えます。
講義の最後に議員の方あるいは議員志望の方が「子どもにツケをまわす議決には反対する」旨の宣誓書にサインしました。 この動きが広がりいつの日かすべての地方自治体と国で均衡財政が行われれば、日本の子ども達もより明るい未来を描けるのではないでしょうか。
(文責: 足立将一 吹田市議立候補予定)
【講師略歴紹介】
吉田 寛 (よしだ・ひろし)
茨城大学人文学部社会科学科卒、千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。
「子供にツケをまわさない」ための公会計の研究成果を実践に移す。
首長の財政運営能力を将来の税金により表章する会計情報を啓蒙し、実践を呼びかけている。福岡県福津市はその一つ。 環境会については生物多様性をkikyoにより評価する手法を開発し利用を進めている。 主に環境再生を手がける組織とネットーワークを構築し、その事業の評価に利用している。
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